六書 3.会意
「説文解字」叙では・・・
[類を比(なら)べて、誼(ぎ)を合わせ、指撝(しき)を見(あらわ)す。「武・信」是なり。]
とある。
<意味を表す要素をならべてその意味を合わせ、それによって指し示そうとする意味を表現する>
ものである。
要するに<合体の字>である。
「武」については、「説文解字」には次のような説解がある。
武 楚の荘王は曰う、「夫れ武なるは、功を定れば兵を戢(おさ)む。
故(ゆえ)に止と戈を武と為す」と。(12下)
・「夫れ武なるは・・・」とあるのは「春秋左氏傳(しゅんじゅうさしでん)」宣公12
(前597)年の文章である。これを引用し、<「止」と「戈(武器)」を合わせて、
「たたかうことをやめる」別の字義が生まれる>ことを述べている。
「信」については、次のような解説がある。
信 誠なり。人、言に従う。(3上)
・すなわち、<人の言葉は誠である>ので「信」の本義は<誠>であると説く。
(漢字総論Ⅱ)より
許慎の説文解字では上記のような解説となりますが、甲骨文字からひも解いた白川先生の解説は
武 会意 戈と止を喰い合わせた形。止は趾(あしあと)の形で、甲骨文字の字形は
之(シ)(ゆく)と同じで、行く、進むの意味がある。
戈(ほこ)を以て進む形が武で、それは戈を執(と)って戦うときの歩き方であるから、
「いさましい、たけし、つよい」の意味となる。
また戈を持って進む「もののふ、武士」の意味に用いる。
武は文と並ぶ徳の名とされ、文徳に対して勇を重んじる武徳を言い文武と対称される。
となり・・・
信 会意 人と言とを組み合わせた形。
言は「口(さい)」(神へ祈りの文である祝詞を入れる器の形)の上に、
刑罰として加える入れ墨用の大きな針を置いて神に誓いをたてる言葉をいう。
神に誓いをたてた上で人の間に約束したことを信という。
それで「まこと、、まことにする」の意味となる。
また、「しるし」の意味に用い、訊(じん)と通用して「たより、つかい」の
意味にも用いる。
となります。(白川静 常用字解 平凡社)より
ほかにも・・・
古 十(干(たて))+口
聖器(もとは武器)としての干で固く守護し、久しく祈りの効果を機能させ(保たせ)
ようとした。
固は古に囗(い)(外囲)を加えて、祈りの効果を守りかためて堅固・固定の意となる。
「説文」は十人がそれぞれ口で相伝えるとする。
祭 肉+又(ゆう)+示
示は祭卓の象。その上に手(又)で牲肉を供えて祭る。
先祖・祖先神をまつる。祭儀の形式をいう字。
祝 示+兄。
兄は祝禱の器である口(さい)を頭上に戴く人の形で、
神を祭る人(はふり)、巫祝。
祭卓の前で神を祭ることを祝といい、いのるの意味。
のちいわう意にも使う。
里 田+土
土は社の初文。里とは田社(田の神を祭る社)のあるところをいう。
田社を中心に人々が住むようになったので、さと、むらざと、むらの意味。
類 旧字は類に作り、米+犬+頁(けつ)
頁は切れの時の儀容(礼儀にかなった姿)で、類とは天を祭る祭名。
犬は犬牲(けんせい)(犬のいけにえ)。
天を祭るのには、米を供え、犬を焼いてその臭いを昇らせた。
類がにる、たぐい意味に使用されるようになり、
類の原義は「しめす偏を付けた形声字」によって示された。
まだまだたくさんありますが、この辺で終わります。
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