六書 4. 形声

「説文解字」叙では、

[事を以て名と為し、譬(たと)えを取って相い成る。「江・河」是なり。]

とある。

「事」とは<事物>、「譬(たと)えを取」る、とは<その字の音声を借りる>ことをいう。

つまり、<事物の名称をとらえ、たとえを借りてきてできあがる文字>ということである。

例えとして・・・

江  江水である。蜀の湔氐(せんてい)の(とりで)外の(びん)山より出て、海に入る。

   水に従い、工の声。(11上)

河  河水である。敦煌の塞外、崑崙山より出て、源を発して海に注ぐ。

   水に従う、可の声。

「江」は<長江(揚子江)>、「河」は<黄河>を指す。

川の固有名詞である。

「工」「可」はその字の音声をさらわす符号(以下「声符」とする)として扱われており

「江」「河」の字義には関わらない。

なお、「水に従う、工の声」「水に従う、可の声」という形式が形声を示すときの定型である。

山川・草木・鳥魚などの名前はほとんどが形声である。

「説文解字」の収録字のうち、形声とするものは7220字で全体の8割に近い。

(漢字総論Ⅱ)より

一部私のPCでは変換して出てこない文字がありました、()下記ひらがなで表記しました。

ほかにも・・・

語  声符は吾(ご)。吾にはまもるの意がある。言語(ことば)。

   言は自分の正しいことを神に対して強く主張する姿勢を示す攻撃的なことば。

   語は祈りを守ろうとする防御的なことばといえる。

急  声符は及(きゅう)。及じゃ後ろより人を追う意の字で、その追いつこうとして

   急ぎはやる心情を急という。

視  (旧字はヘンが示)声符は示(じ)。示は祭卓の象で、視とは神の姿を見る。

   神意の示すところを見る意であるから「しめす」の訓がある。

省  甲骨文・金文は生(せい)の声。眉飾りをつけた呪力のある目で巡察する(めぐりみる)

   ことを省という。

   巡察して不正を取りしまることから省察する(かえりみる)意となる。

   省察して取り除くべきものを除くので、はぶくの意となる。

鼻  畀(ひ)声。畀を音符とするのはその鼻息の擬声語。

作  声符は乍(さく)。乍は作の初文。乍は木の枝を強く曲げる形。垣などを作る意。

   卜辞(ぼくじ)に「墉(しろ)を乍(つく)る」「邑を乍る」とあり、

   大土木工事は垣を作ることから始まるのであろう。

梅  声符は毎(まい)。字はまた楳(ばい)に作り、音符は某。「うめ」をいう。

   「説文」六上に「某は酸果(さんくわ)なり」とあり、某を楳のもとの字であるとしている。

   某はもと曰(えつ)と木とを組み合わせた形で、木の枝に曰(神への祈りの文である祝詞を

   入れる器の口(さい)の中に祝詞のある形)を著(つ)けて神にささげ、神意を問い謀るの

   意味で、謀のもとの字である。 (以下略)

枝  声符は支(し)。支は小枝(十)を手(又(ゆう))に持つ形で、えだのもとの字。

   「支」をささえる、わけるの意味に用いるようになって、木の「えだ」の意味を示すために

   木を加えて枝となった。  (以下略)

桃  声符は兆。兆は卜兆の形。

   「説文」六上に「果なり」とあり、「もも」をいう。

   桃は鬼を祓う力があるものとされ、

   桃れつ(くさかんむりに列)(桃の木とあしの穂のほうき)は邪気を祓うのに使用した。

   桃弧棘矢(とうこきょくし)(桃の弓と棘(いばら)の矢)も邪気を祓うときに使った。

などなどたくさんありますが、このあたりで終わります。


ケセラおばさんの日々是好日

今日の漢字での常用漢字が終わりましたので・・・ 元々大好きな、空や植物や動物を見つめて行こうと思います。

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