新*今日の漢字* 「以」
暑にかまけて、お中元の注文を忘れていたので、今日最寄り駅のデパートまで行っていました。
では・・・
新*今日の漢字*
「以」 音読み イ 訓読み ---
画数 5画 部首 人(にんべん)
では常用字解で調べてみましょう。
象形 耜(すき)の形。
耜の字形のうち、左の耒(らい)は刃先のわれているすきの力(りょく)を持つ形、右の
̪㠯(し)は刃先のまるいすきの形である。
刃先のまるいすきの形は、字形としては已(い)となるとき、以となるとき、、厶(し)
となるときとがある。
古い時代(殷(いん)・周代)の已の用法では、「以(もっ)て」のときには祝詞を入れ
る器である口(さい)を加えて、虫害などを祓(はら)ってからそのすきを使用する意味
である。
のちに口(さい)を省略して、以の形となった。
台はまた一人称の「われ」の意味にも使った。
(白川静 常用字解 平凡社)より
次に字統を調べてみました。
象形 以は[説文]十四下 に已(い)の左向きの形、すなわちその反文であるとし、またその師で
ある賈逵(かき)の薏苡(よくい)の実の象形であるとする説を引くが、卜文・金文の
字形からいえば、明らかに耜(すき(㠯(すき))の象形である、
ただその原義において用いられることはなく、字形も已と以とに分化して別の字と
なった。
耜の形はまた厶(し)ともかかれ、矣(い)・私(し)・台(い)などはその形を含んで
いる。
已は金文の[毛公鼎(こうこうてい)]に「已(ああ)」という感動詞、[叔夷鎛(しゅくい
はく)]に「已(や)む」という動詞に用いている。
また以の字としては卜辞に「衆を以(ひき)ゐる」「人を以ゐる」のように用い、金文に
おいても西周初期の[小臣(しょうしん)せき(言+速)き(皀+殳)]に、「伯懋父(はく
ぼうほ)、殷の八師を以(ひき)ゐて東夷(とうい)を征す」、後期の[毛公鼎]に、「乃
(なんじ)の族を以(ひき)ゐて、王の身を干吾(かんぎょ(扞護))せよ」のように用
いる。
また列国期の[許子鐘(きょししょう)]に「用(もっ)て匽(宴)し以て喜(し(̪食+喜)
す」のように、用と以とを互用する例が多い。
また祝禱(しゅくとう)の器である口(さい)を下にそえて台の字形とし、斉(せい)の
[叔夷鎛]「女(なんじ)、台(もっ)て余朕(わ)が身を䘏(うれ)へよ」のように、台を
以の義に用いる。
これを以ていえば、已(い)・以(い)・台(い)はみな声義の同じ字であり、ただのち
釈字の形が分化して、用義上の区分が生まれたのである。
たとえば已は土央氏の「やむ」、感動詞の「ああ」に用い、以は「ひきいる」「ゆえに」
「おもう」「以(もち)いる」に用い、台は「われ」「台(もつ)て」に用いるが、その
訓義の範囲を越えて互用することはほとんどない。
卜文・金文の字形では已と以(㠯(し))とは同形で、のち字形の分化に伴って慣用上の
区別を生じたものである。
白川静 新訂 字統(普及版) 平凡社)より
「以」という字は「刃先のまるい耜(すき)の形」で「已(い)となるとき、以となるとき、、厶(し)となるとき」があるようですね。
「已(い)」・「以(い)」加えて「台(い)」は声義の同じ字だったようですね。
今では「耜」のイメージはありませんが、漢字はタイムカプセルのようにいろいろな情報を含んで
いるのですね。
さて今日の一枚は・・・
ちょうど、花から実へと変わる様子が一枝でわかる所がありましたので、パチリ!
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