新*今日の漢字* 「声」
静かな彼岸の明けを迎えました。
早速ですが・・・
新*今日の漢字*
「声」 音読み セイ ショウ 訓読み こえ こわ
画数 9画 部首 士(さむらい)
では常用字解で調べてみましょう。
会意 もとの字は聲に作り、殸(けい)と耳とを組み合わせた形。
殸はつるした磬(けい(石の楽器))を打ち鳴らす形。
耳に聞こえるその鳴る音を聲といい、「おと、ひびき」の意味となる。
甲骨文字の字形に、磬の下に口(さい(神への祈りの文である祝詞を入れる器の形))
を加えるのは、神をよぶための祈りを示し、磬がもと神をよぶための楽器であったことを
示している。
声はのちに人の「こえ」の意味に用い、また「うわさ」の意味にも用いる。
(白川静 常用字解 平凡社)より
次に字統を調べてみました。
会意 旧字は聲に作り、殸(けい(石の楽器))を鼓(う)つ形。
その鼓つ音を聲という。
耳に磬の鳴る音を聴く意をもって、聲を示した。
今の常用漢字の声は磬石をかけた形であり、磬の初文。
聲とは声義ともに異なる字である。
[説文]十二上 に「音なり。耳に從ふ。殸(けい)声」というも、殸は磬と同じ声、
それに耳をそえたものであるから、聲は会意字とみるべきである。
卜文には殸の下に祝禱を収める器の口(さい)の形をそえた字もあり、祈って神を招く
ときに磬を用いた。
声は口に発するもの、音は物によるものであるが、声がもと磬に従う字であることは、
神を招き、神の声を聞くことを原義とするものであろう。
音も「ふるくは神の自鳴、神が自らの存在や神意を示すためのものであった。
その字を声聞・声勢など、人の名聞の上に用いるのは、僭越(せんえつ)の沙汰という
べきである。
(白川静 新訂 字統(普及版) 平凡社)より
声はもともと石の楽器(磬)の鳴る音が耳に聞こえるその音のことだったのですね。
しかも、磬は神を招く楽器だったらしいのですね。
ちなみに「声聞・声勢、名聞」とは「世間の評判」ということだそうで、「声」を人に用いるのは
立場を越えて出過ぎたことだと書かれていますね。
漢字には長い歴史の中で意味や使用例の変遷がいろいろあるのですね。
漢字はいろいろ変化しながら生きているのでしょう。
彼岸も最終日となり、昔の人は暑さ寒さも彼岸までといわれた季節に入ってきます。
我が家の前の柿畑は毎年早々に葉を落とし、枝と実が目立つようになりました。
そして、今日の一枚は・・・
みかんが少し色づき始めました。
ありがたいことに、今年もたくさんの実が生り、黄色くなる日が楽しみです。
0コメント