新*今日の漢字* 「方」
昨日の夕方から降り出した雨が今も降り続いています。
では・・・
新*今日の漢字*
「方」 音読み ホウ 訓読み かた
画数 4画 部首 方
では常用字解で調べてみましょう。
象形 横にわたした木に、死者をつるした形。
これを境界の所に呪禁(じゅきん(悪邪を祓(はら)うまじない))として置いたので、
「外方(遠く離れた国。とつくに)」の意味となる。
方位・方角・方向のように「かた」の意味に用い、また方法のように「みち、てだて」の
意味に用いる。
悪霊を追放するために方を殴(う)つことを放という。
白はされこうべの形であるから、されこうべが残っている死者をつるして殴つ形が敫
(きょう)で悪霊を追放することを求める儀礼である。
(白川静 常用字解 平凡社)より
次に字統を調べてみました。
象形 架屍(かし)の形。
横にわたした木に、死者をつるしている形。
これを境界の呪禁(じゅきん)として置いたので、外方の意となる。
[説文]八下 に「併(あは)せたる船なり。兩舟の省きて頭を總(むす)びたる形に象る」
と舟の意とし、重文として汸を録する。
その字形をもって、方を方舟と解する一証とするものであろう。
しかし卜文・金文の字形は、舟の形とはしがたいものであり、徐仲舒(じょちゅうじょ)
は汸を耒耜(らいし(すき))の形と解したが、それも字形と合わず、かつ方舟・耒耜説
では方形等の諸字の構造を説くことができない。
方は卜辞において土方・馬方・召方など、圏外異族の国をよぶ名であり、また四方遠方の
称に用いる。
架屍の象である方が方外の国や遠方・方位の意に用いられるのは、方が架屍祭梟(さい
きょう(さらし首))の俗を示し、これをその境界の呪禁としたからである。
罪によって国外に追放することを放tぴう。
放は方を殴(う)つ形。
架屍を殴つことによって、共感呪術的にその邪霊を追放しうるとされからである。
道路において長髪の巫女(ふじょ)を殴つことを微といい、敵の呪力を微(な)くする
呪儀であり、長髪の人を殴つことを徴といい、また長髪の人の屍を殴つことを敖(ご
う)・傲(ごう)という。
いずれも外族を懲らしめ、これを威圧するための呪儀である。
このような呪儀において、架屍の形である方の上に白骨化した頭蓋骨を存するものを殴つ
形で境界における呪儀を示し、「儌(もと)める」「邀(むか)える」「皦(あき)ら
か」「かんが(上下に穴+敖)える」など、敖に従う字はみなこの呪儀の声義を承ける。
これは多く辺徼(へんきょう)で行われるものであるが、辺の旧字である邊は、鼻きょう
(上下に穴+敖)を上向きにした屍体を台上においた祭梟の俗を示す字である。
ゆえに方と辺とには、共通義が多い。
方のような祭梟による呪禁は、あらゆる聖所に対して施されるもので、これを神の陟降
(ちょくこう)する聖所に施すことを防という。
防は神梯(しんてい)の象であるふ(阜の上部にもうひとつ口のような物を加えたもの
(防の左側(おおざと)))の前に、その呪禁として架屍を施すことをいう。
それが聖所を防禦(ぼうぎょ)する方法であった。
安陽(あんよう)の殷(いん)墓に多くみられる断首葬も同様の呪禁の方法であった。
断首葬身首異所、首十個・身十個ずつを、それぞれ市坑に収め、ときに数十坑・数百体に
及ぶことがある。
方は架屍、方は邪霊追放の呪儀を示す字であり、そのことから法の諸義が引伸さえるが、
方域・方向・方法などは、子の字のもつ呪的な意味から、直接に導くことのできるもの
である。
(白川静 新訂 字統(普及版) 平凡社)より
怖いといわれる解説が出てきましたね。
まず方は木に死者をつるした形でしたね。
これは外界に対し悪邪を祓う呪儀でした。
科学の解明されていない古い時代、未知の世界は恐怖のかたまりだったと思います。
悪いものが入ってこないように、真剣に願っていたことでしょう。
それから、色々出てきましたが、「方の辺(邊)」の付く皆さんごめんなさい。
過去においての大切な儀式の一つから生まれた字形なのです。
我が家の近くの元田んぼに囲まれた三差路に地神様と言われるお墓のような石が建っています。
春秋のお彼岸の中日につまり、年二回「地神講(じじんこう)」という行事でお祀りしています。
講中は何十軒かありますが、当番の両隣つまり三軒で行います。
日本でも古い時代には悪い病気なども道を通って隣村からやってくると思われていたらしく、三差路
や十字路などの道の交わる所(辻)に土地の神様を祀って悪いものから村を守っていたとご近所の
物知りのお年寄りが言っていました。
怖いものの正体が分からない時代には、どの国でも神や仏に真剣にすがっていたのですね。
では今日の一枚は・・・
去年の冬ころ植えてあった忘れられていたプリムラの芽が出ていたので、植木鉢に回収しました。
花まで咲くかどうかは分かりませんが、元気に育ってほしいです。
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