新*今日の漢字* 「氏」
朝のうちはいつ雨が降ってもおかしくないような空模様でしたが、
午後には青空が広がって、少し蒸し暑くなりました。
では・・・
新*今日の漢字*
「氏」 音読み シ 訓読み うじ
画数 4画 部首 氏
では常用字解で調べてみましょう。
象形 把手(とって)のある小さな刀の形。
祖先の祭りの後で行われる氏族の共餐(きょうさん(集まって食事をするこ
と))のとき、この小刀で祭祀(さいし(祭り))に用いた肉を切り分けるの
で、肉切用のナイフが氏族の象徴となり、氏族共餐に参加する者を氏という。
それで氏は「うじ(氏族)」の意味となる。
祭礼のとき、おうが鸞刀(らんとう(鈴のついた刀))で犠牲(いけにえ)の肉
を割(さ)くように、氏族の祭祀では氏族長がそのことに当たった。
祖先の祭りと氏族共餐は、氏族制度を維持するうえで最も重要な儀礼であった。
(白川静 常用字解 平凡社)より
次に字統を調べてみました。
象形 把手(とって)のある小さな刀の形。
氏族の共餐(きょうさん)のときに用いるナイフ。
その氏族共餐に与(あずか)るものが氏族員であることから、氏族の意となる。
[説文]十二下 に巴蜀(はしょく)の地では、山岸の崩落しかけたものを氏と
いい、その崩落する声は数百里にも聞こえると説き、字をその象形と解するが、
それは楊雄(ようゆう)の[解嘲(かいちょう)]に「響くこと氏隤(したい)の
ごとし」という例によるもので、氏の本義ではない。
氏姓・氏族の制度は、中国の古代社会において最も基本的なものであり、「その
字が巴蜀の山崩れの字で示されることは考えがたい。
氏族制度の維持において、祖祭に参加し、その氏族共餐に参加することは、最も
重要な儀礼であった。
そのとき氏族の長老が犠牲を割(さ)き、共餐の儀礼は氏(うじ)の上(かみ)
の司会によって行われる。
氏はその儀礼に用いられる肉を裂く小刀であり、氏族の象徴たるものであった。
卜文にはそれを皿の上におく字形がある。
氏の音は是(し)と近く、段玉裁(だんぎょくさい)は是を氏の本字と考え、郭
沫若(かくまつじゃく)もその説に賛しているが、是は匙の象徴絵あり、氏は
祭肉を頒(わか)ち、共餐の肉を頒(わか)つものであるから、氏族の象徴とし
ては氏の方がふさわしい。
金文には君侯を侯氏(こうし)、夫人を君氏(くんし)のようにいう。
氏は血縁の共同体であり、その名訳に背くものを盗という。
おそらく共餐の儀礼が、同時に氏族員としての盟約の儀礼であり、これを汚す
ものは、その盟約の離叛者として、盗とされたのであろう。
氏族の生活を離れたものをいうのが盗の初義であった。
氏と民とは字形が似ているようにみえるが、民(みん)は眼睛(がんせい)を
失ったもので、隷民(れいみん)をいう。
また厥(けつ)もほりもの用の大きな曲刀である剞劂(きけつ)の形で、氏と
初形は似ているが、これは彫刻刀である。
古代の士族は王朝との関係において、職能的に組織されることが多く、金文の図
象によってその大体を察しうる。
[周礼(しゅうらい)]の官制に、保氏・媒氏・憑相氏(ひょうそうし)・保章氏・
挈壺氏(けいこし)・射鳥氏・方相氏・蜡氏(さし)・伊耆氏(いきし)のよう
に、古礼を伝承する氏族の名が多く残されている。
(白川静 新訂 字統(普及版) 平凡社)より
「氏」は「把手のある刀の形」だったのですね。
どのようなときにその刀を使うかというと「祖先の祭りのあとに行わる共餐のときに、祖先
にお供えした肉を切り分けるためのナイフ」だったのですね。
そしてその共餐に参加することが同時に氏族員としての盟約の儀礼ともなっていたようです
ね。
さて今日の一枚は・・・
3匹いる猫が食べたい葉っぱが近所に少なくなった時に、ペットプランツなるものを買って
いましたが、種を売っていたので庭の土を入れた鉢に蒔いてみました。
もう猫にあげてもよさそうな気がしますね。
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