新*今日の漢字* 「述」
今日は一周忌間近の実家の母のお墓参りに行ってきます。
ではその前に・・・
新*今日の漢字*
「述」 音読み ジュツ 音読み の(べる)
画数 8画 部首 しんにょう
では常用字解で調べてみましょう。
会意 もとの字は(しんにょう+朮)に作り、朮(じゅつ)と辵(ちゃく)とを組み合
わせた形。
辵(しんにょう)には道路を行くの意味がある。
朮は呪霊(じゅれい(霊の力))を持つ獣の形。
道路において、この獣を用いて軍の進退などを占って決めることを述という。
それでその占いによる決定に「したがう」の意味となる。
遂も同じような構造の字で、占いの結果を待って行動を継続することをいう。
道路において述や遂のような占いをすることを術という。
[論語、述而(じゅつじ)]に「述べて作らず」とあるが、古典にしたがって
そのままにいい、自ら創作することをしないという意味である。
「したがう」ことから、「前の通りにいう、のべる」の意味となった。
(白川静 常用字解 平凡社)より
次に字統を調べてみました。
会意 旧字は(しんにょう+朮)に作り、朮(じゅつ)と辵(ちゃく)とに従う。
辵(しんにょう)は道路を行く意。
道路において、呪霊をもつ獣である朮を用いて、行路の安全を祈る呪的な行為を
いう。
[説文]二下 に「循(したが)ふなり」と訓し、形声とする。
[爾雅(じが)、釈詁(しゃくこ)]に「遹(いつ)は循(じゅん)なり」の[孫炎
(そんえん)注]に「遹は古(いにしへ)の述字なり」とあり、また[詩、邶風(は
いふう)、日月]の[釈文(しゃくもん)]に「述は本、亦(また)術に作る」とあ
り、[論語、述而(じゅつじ)]「述べて作らず」を[墨子(ぼくし)、非儒]に「循
(の)べて作らず」に作る。
述・術・遹・循は声義近く、相通ずる意をもつ字であるが、遹は矛(ほこ)を
台座に樹(た)てて巡行すること、循は盾(たて)を掲げて道路を按行すること
で、ともに呪霊を修祓(しゅうふつ)する儀礼である。
また、述・術は、ともに呪霊をもつ獣を用いて、道路で呪詛(じゅそ)を行い、
邪霊の侵すのを防ぐ呪的な方法である。
字はまた遂とも通じ、金文の[小臣(しょうしん)せき(言+しんにょう+朿)き
(皀+殳)]「述(つひ)に東す」は遂の意。
すい(繸の糸、しんにょう無し)も犠牲の獣を意味し、これを道路に用いる儀礼
は行為を継続することを意味する。
述と遂は、道路の安全を求めるもので、これによって道路・遂行の意が生まれ
る。
述に「循ふなり」と訓するのは、その古義にかなうものである。
述義とは、古義に循ってその意を説くことであり、[論語、述而(じゅつじ)]「述
べて作らず」というのも、その義に外ならない。
[礼記(らいき)、楽記(がくき)]に「禮樂の文を識(し)る者は、能く述ぶ」と
いう。
[左伝]や[孟子]に古く諸侯述職の制があったとするが、述の古儀は、術の声義のう
ちに存している。
(白川静 新訂 字統(普及版) 平凡社)より
「述」は「呪霊をもつ獣(朮)を使って軍の進退を決める」ことをいったのですね。
「遂」も同じような構造なのですね。
述・術・遹・循は音も意味も似ていますが、遹と循は矛や盾という道具を使ってする儀礼で
霊をもつ獣を使う述や術とは少しだけ違うようですね。
さて今日の一枚は・・・
紫陽花のつぼみを見つけました。
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